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【ネタバレ感想】GUNDAM SEED FREEDOMはSEEDシリーズを愛せるようになるすごい作品だった

お久しぶりです。生きてました!

復活に足りるエネルギーをSEED FREEDOMから得ました。

本当にすごかった。頭がおかしくなるかと思った。

早速自分なりに講評と感想を述べていきます。ネタバレ前提だぞ!!

いきなり成績発表

ストーリー: 0点

テーマ  :100点

キャラ  :300点

勢い   :200点

合 計  :600点

ストーリー:0点

脳みそがなくならないうちに、一番真面目に書きたかったことを書いておく。

勢いとキャラ愛で許せてしまうが、今作もストーリーは強引だ!

SEEDはイデオロギーを物語にできない

SEED無印からずっと言われている「作中の思想が穴だらけ」という指摘を結局払拭できなかった印象。

SEED無印は最終的に病みおじと青二才のポエム合戦からの暴力で終幕したし、DESTINYは敵の思想に明確な回答をせず、ピンボケしたよくわからんお題目を掲げた上でまたしても暴力で解決してしまった。

ところで、私はデスティニープランは部分的に正しいと思っているし、少なくとも作中において真向から否定できてもいないと思っている。SEED Destinyでデスティニープランが実現できなかったのは、デスティニープランが間違っていたからでなく、議長が性急かつ強硬な策に走ったからでしかない。

もっというと、キラと議長を戦わせるために議長をアホにされたとずっと思っている。

思うに、デスティニープランを否定するだけの思想が用意できなかったために、議長に雑な悪役ムーブ(ラクスを暗殺しようとしたり、レクイエムを再利用したりという冷酷非情かつ軽率な行動)をさせて、議長の独善と冷酷さを強調し倒すための大義を無理矢理作らざるを得なかったのだろう。

私がSEED DESTINYを観て釈然としなかったのは、最初は「統制vs自由」の思想闘争を期待していたのに、政治ドラマを描くのを放棄して「ヒューマニズムvsマキャベリズム」で露骨にお茶を濁されたうえに、その皺寄せで最初応援していたシンたちがあからさまに不遇をかこつことになったからだ。

 

今作はどうか?

キラはデスティニープランと議長の影に苦しめられていたが、やはりデスティニープランを完全には否定することはできていなかったし、今回の事件も結局暴力とエモで解決してしまった。

そして今回はアホになった議長よりずっとアホな女王様が議長よりずっとひどいことをする上にもっと思想がペラペラである。シナリオとしてみたらカスもいいところだ。

しかし今回はそんなに釈然としないわけではない。徹頭徹尾「共感できる大義の無い明らかに悪い奴が明らかに悪いことをしているのを懲らしめる」話で、最初から視点が一貫しているので不満もなかった。

ゆえに、加点方式で0点。

テーマ:100点

私がデスティニープランをそんなに嫌いじゃないから前節のようなことをクドクド書いたわけだが、今回デスティニープランはそんなに重要ではない。

今作はテーマである「愛」を露骨に強調してくる。キラも最後の方愛Botになってたし。

「必要だから愛するのではありません。愛しているから必要なのです」

「人は目的のために生まれるのではありません、愛によって生まれるのです」

これだよ!!たったこれだけのことを言うのに20年もかかって!

コーディネーターとナチュラルの対立をクドクドやったあげく「それでも守りたい世界があるんだ!!」と言って無理やり締めたSEED無印でも、このくらい開き直ってくれていれば。でも当時はキラも若かったものね。

SNSが普及して、比較がしやすいし他人の言説も目に入りやすい昨今。誰もが自分を「映える」ように演出しているし、「私にはこれだけの○○(収入、ステータス、その他諸々の数字)があるから価値がある」とマウント合戦に精を出したり、〇〇をよりどころにしようとしている人や、他人にケチをつけられることをやたらと恐れている人をよく見かける気がする。だからこそ、誰が何と言おうと1対1の関係において存在している「愛」が必要な気がする。私はちょうど欲しかった。

キャラ:300点

久しぶりにキャラの活躍が見られただけで本当に嬉しい。

シン

DESTINYであまりにも救いがなかったシンがすごく元気にしていて、それだけで感動した。というか何の説明もなくこんないい子なシンをお出しされてしばらく困惑した。

キラのこと大好きそうなのもびっくりしたけど、DESTINY後にいろいろあったんだろうなぁ。

序盤から中盤、シンの扱いが不憫ですごく心配になった。キラに「待て」をされたり、アグネスになじられたり、剣の決闘でボコられたり、アスランの暴力の餌食になったり……。

面白がる一方で、制作陣がシンを貧乏くじポジションのネタキャラにしようとしているんじゃないかとかなりストレスを受けた。

そこからのラストバトルのカタルシスったらもう途轍もなかった。シンは強いんだ!!

キラ

SEED視聴時はずっと高ストレス環境でかわいそうだな……と思っていたけど、当時を彷彿とさせる負荷が見てとれて心配だった。DESTINY以来MS戦最強で周囲からも相応にヨイショされているけど、人類の戦いを勝手に背負い込もうとしたり、勝手に背負い込むのに耐えられず人のせいにして泣き言を言ったりと、SEED当時と同じ不器用な人間なのを感じられてよかった。

アスラン

アスランのことは「やたらと説教してくる石田彰」「責任感ありそうなのにすぐ独断専行するやつ」「やたらモテる」程度にしか思っていなかったが、結局よくわからなかった。

キラを殴るシーンはとてもスカっとした。もっと早くいろいろ言ってやれ~?

でもそれに続く「元カノについて講釈を垂れる元カレ」の図はだいぶ変な気持ちになった。アスランの後ろのクルーの目が泳いでたし。みんなが画面左に視線を移すなか、メイリンだけ画面右を向いたのに深い意味はあるんだろうか?

カガリのことをちゃんと好きみたいで良かった。Destiny HD版の追加映像でメイリンとのカップリングに落ち着くと思っていたので。じゃあメイリンは何なんだ…?

ラク

SEEDからずっと、ラクスは作中で不自然に優遇されすぎだと思っていた。

「政治家の娘の歌手ってだけでみんな言うこと聞きすぎじゃね? おかしいだろ」と…。

FREEDOMで「支配階級用の特別なコーディネーターでした!」という設定がいきなり生えてきて、納得したというかどうでもよくなった。

「なんか歌ったり武力をくれたりする権力のすごいおっとりお姫様(しかも主人公にベタ惚れ)」程度に思っていたけど、キラへの信頼・愛情の描写が丁寧で昔よりずっと好きになれた。キラに毛布をかけてあげるシーンがとてもいい。

ラクスは個人の見解を断定口調で言っていい風潮、あると思います。

カガリ

いきなりMSに乗ったりMSを遠隔操作したり滅茶苦茶な国家元首だと思ったが、よく考えたら昔からだった。いつも頑張ってそうでかわいい。

アスランの「破廉恥な妄想」の餌食が自分だと信じて疑わないの滅茶苦茶良くないすか?

欲を言うなら進藤さんにやってほしかった。今回の人も寄せてくれてたし演技も上手だったけど…。

勢い:200点

序盤はシリアス、中盤は絶望的な敗北で押しつぶされるような雰囲気だが、だからこそいろいろとおかしいラストバトルでカタルシスがすごい。

巷ではズゴックの登場で流れが変わると言われているが、シンとキラが半壊デストロイに剣を突き立てるシーンからFREEDOMの片鱗が見えていた気がする。

私にとってのはSEEDっぽさは

「ポーズや構図の外連味」

「かっこいいけどよくわからないメカ・ネーミング」

「突然のサービスカット」

「バンク」

なのだが、後半ではそれを惜しげもなく詰め込んでいた。それどころか強化されていた気がする。

急にステラの幻影で全裸ノルマを達成したと思ったらバケモノになるシーン、突然アスランの破廉恥な妄想を見せられるシーンは「まあ脈絡のない展開もよくあった気がするし…」と流していたが、Meteorが流れる中ラクスがフリーダムの肩の上でポーズを決めているシーンは感動しつつ困惑した。

BGMも機体も話の流れも演出も感動的かつ激熱!なのにこのわけのわからない絵面はなんだ。こうなる必然性も必要性も全くないじゃないか……。

と感じつつも、丸め込まれてしまうほどのアツさと勢い。最高。

まとめ:FREEDOM

そしてラストの追い全裸、去り際のロマンティクス、ラクスのメッセージを聞かされて、全てを理解する。

必然性も必要性も要らない。

だって僕にはFREEDOMから貰った愛があるから!!

ストーリーに粗があろうと、僕はSEEDシリーズを愛している!

そういう幸せな気持ちになれる作品。

っぱ愛よ!!