百合学芸員から次にオススメされたのはこちら。
①なおいまい「カレーをたべる❤ふぁむふぁたる❤」
ポップというか、原宿系というか。
先にレコメンドされたカイコ先生とは180度雰囲気が違ってびっくり。
主人公・ゆめろん(本名・河合ウメ子)はオフ会で会ったユウトにガチ恋。
以降、個人通話したり二人で会ったりと急速に距離を縮めていく。
ついにはライブのために止まったホテルで寝ているとき覆いかぶさられるが、目を閉じて待っていると何もされずに終わり、ユウトの真意が読めないゆめろんは悶々とする。
そんなある日、グループ通話で「ユウトは手が早いからゆめろんさんも気をつけて」を皮切りに、その場に居ないユウトの悪口で盛り上がり始める。ゆめろんも流れに任せて思ってもいないユウトの悪口を言ってしまう。
自分の発言がバレたのかと不安になるゆめろんだが、気持ちを切り替え、謝って自分の気持ちを伝えようとユウトに会いに行く。
しかし。
いざユウトと向かい合うと逃げ出し、適当な店に入ってしまう。
そして泣きながらカレーを食べていると、なぜかユウトが現れる。
決意していた通り、正直に謝るゆめろん。
すると、ユウトはそんなこと知らなかった、自分もゆめろんの居ないときに悪く言ってしまったことがある、と。
想いを伝えあった二人が、二人で陰口を聞いてもものともしない姿で閉幕。
二人の世界のほうがコミュニティより強い!ゆめろん大勝利!
最初は「女社会怖いね」を克服するだけの話だと思っていたのだが、誰も信じられない、信じないことを紐帯に作られたコミュニティを頼りに不安に生きていたゆめろんが、ユウトとの関係に乗り換えることで安心を手に入れるというストーリーなのかもしれない。
二人の世界の不確かさを描くばかりが百合ではないということだろうか。
また、本作はカワイイだけではない!
徹底的にカワイイ絵柄である一方、悪口がリアルに描かれたり、実は読者からしてみればユウトは節操がないという疑惑が払拭されていなかったりと、全体的にどことなく不穏なアンバランス感を纏っている。
また、自己完結している所を踏まえてゆめろんの心理描写を見ているとまた面白い。
文字だけの、想像上のユウトを相手にしているゆめろんはハツラツとしている。
しかし、グループチャットで自分に関心が向いているときのゆめろん、ユウトが男も女も見境なく手を出すと知ってから現実で会ったゆめろんはとても怯えている。
これは他者に関心が向く、されど他者の関心が怖いという、コミュニケーションが不得手な人間に時折見られる性質を忠実に再現している。
強くデフォルメがかかっている割にとてもリアルな気がする。
面白い、読めば読むほど面白い。
とにかく、これも百合か……。
2020/6/18追記
あーん! 無料公開死んだ!
しかし単行本に、書き下ろし「カレーをつくる♡ふぁむふぁたる♡」等と共に収録された模様↓